モノクロと二つの音

「ふ、冬華ちゃん!」

「……はい!」

岡田先輩は勢いよく私を呼んだ
な、なんだろ?
もしかして…このベートーヴェンのピアノソナタ、月光を聞いて
岡田先輩は感動を覚えたのかもしれない
そんな期待をしていると

「帰ろう!帰って公園に行こう!」

「公園?」

岡田先輩は私の手を引っ張った
手を握るわけでもない、掴んで引っ張って痛かった
どうしたんだろ…
手も握られないまま公園に着く

「どうしたんですか?」

先輩の顔がだんだんと怖くなる
な、何かしたかな?

「冬華ちゃん、ここ座って」

岡田先輩はベンチを指差す

「は、はい」

私は言われた通り座った
その隣に岡田先輩も座る
……近い
男の人と話したりするのも慣れてないせいか
この距離感はあまり嬉しいものではなかった
しかし先輩は
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