モノクロと二つの音
私は涙が溢れた
私のピアノ…誰も聞いてないの?
……そうなんだ
あんまり聞かれてもなって思ってたけど
本当に内心は私のピアノを聞いて欲しかった
先輩と付き合ったのも私のピアノを聞いてくれたからだった
……でも、誰も聞いてないんだ
「あんたのピアノ、あたしは聞いてたよ」
【カシャ】
「………え?」
「………」
私も岡田先輩も固まる
私たちだけだったこの公園からもう1つ声が聞こえた
「な、何撮ってんだよ…」
顔を青ざめて岡田先輩は私から離れる
声のする方を見てみるとそこには
金髪少女が居た
名前は…加藤?伊藤?さん
なんでこんな所にいるんだろ
「け、消せ!今の撮ったろ!」
岡田先輩が怒鳴るように金髪少女に言う
「あんた、受験生だったよね?」
「………」
「こればらまかれたくなかったらその子を離して」
「………」
「Von ihr weg」(彼女から離れて)
「………ば、ばらすなよ?」