モノクロと二つの音
私は椅子に座ってピアノを弾いた
【♪〜〜♪〜♪】
「ふ、ふーか……」
紅衣も驚いてる表情だった
どうだ!
「めちゃくちゃじゃねーかよ!!」バウッ!!
「えええええぇぇぇ!!」ニャオーン
な、何がめちゃくちゃなの!?
「なんか忙しないピアノだったな
いつも聞いてる時は音が楽しそうだったぞ」
「……音が楽しそう?」
「うん、なんつーか今のふーかのピアノは
カッコつけてるって感じだった」
「うん、図星です」
だってみんな見てる前で弾いたことなんてないんだもーん!!
カッコつけたくなるー!
「じゃあ紅衣も弾いてみてよ!」
「……いいよ」
紅衣も椅子に座る
そして紅衣の指が鍵盤弾く
【♪〜〜〜〜】
「……………!」
紅衣はたった1音鳴らしただけだったのに
一瞬にしてその世界観に引き込まれるようだった
そして
【♪〜〜♪〜♪】
シューマンの飛翔という曲
この曲はテンポの早い曲で尚且つ力強く、様々なテクニックが組み込まれている
表現もさながら飛翔という感じで
これから羽ばたく準備をしているかのような音の乗せ方だった
昔学校の帰りに聞いたあのピアノの音を思い出す
なんでだろう、あの時と同じような感覚に戻ってるみたい