手紙
 


布団に入ったまま、時計の秒針が進んでいく音を、ただ無心に聞いていた。



すると、階段の軋む音がゆっくりと近付いて来て、この部屋の前で止まる。


ノックをされたけど、あたしはただ白い天井を見つめていた。



長い溜息が聞こえた後、控えめに声を抑えた低い声がしたけど、ぼーっとしていたあたしの耳にはいっさい届かなかった。



また階段の軋む音が聞こえ、部屋は時計の秒針の音だけに支配される。



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