オネエさんとOL
(林《りん》ちゃんが電話してたから泣かずにすんだけど、でもほんとは胸におでこ当てるくらいはしたかった……抱きつくのは大胆すぎるからしないとしても!)
頭を撫でてほしかったなあ、と思ってしまう。
「ごめんなさい待たせたわね!」
林太郎が勢いよく部屋に入ってきて、結は飛び上がった。電話は終わったようだ。
「あら何でコート脱いでないの、マフラーも」
林太郎が、物思いにふけって突っ立っていた結のマフラーを外していく。その手の動きから、甘い香りがふんわりとした。林太郎はいつも甘くていい匂いがする。バニラではない、甘くていい匂いの何か。
コートも脱がされて、壁のピクチャーレールにマフラーとともに引っかけられた。
「何か食べてきたの? 食べてないならご飯にしましょ」
「あ、た、食べてない! ごめんね、いきなり押しかけちゃって。お休みだったんでしょ?」
「いいわよ、家の掃除しかしてないし」
林太郎がキッチンに移動するのについていく。ひとり用の冷蔵庫をあけた林太郎が、小さくうなる。
「そうねえ、ブリ鍋にしましょ。ちゃっちゃと作っちゃうから待ってて」
「え、手伝うよ?」
頭を撫でてほしかったなあ、と思ってしまう。
「ごめんなさい待たせたわね!」
林太郎が勢いよく部屋に入ってきて、結は飛び上がった。電話は終わったようだ。
「あら何でコート脱いでないの、マフラーも」
林太郎が、物思いにふけって突っ立っていた結のマフラーを外していく。その手の動きから、甘い香りがふんわりとした。林太郎はいつも甘くていい匂いがする。バニラではない、甘くていい匂いの何か。
コートも脱がされて、壁のピクチャーレールにマフラーとともに引っかけられた。
「何か食べてきたの? 食べてないならご飯にしましょ」
「あ、た、食べてない! ごめんね、いきなり押しかけちゃって。お休みだったんでしょ?」
「いいわよ、家の掃除しかしてないし」
林太郎がキッチンに移動するのについていく。ひとり用の冷蔵庫をあけた林太郎が、小さくうなる。
「そうねえ、ブリ鍋にしましょ。ちゃっちゃと作っちゃうから待ってて」
「え、手伝うよ?」