間違えてない?私なの?
 街を歩いている本田くんは目立っていた。通りすがりの女の子たちが、本田くんを見て、ヒソヒソと話す。
「あの人モデルみたい。」
「イケメン。」
 などなど。

 それでも、私は本田くんといるのが楽しかった。

 帰りの電車の中、本田くんは疲れたのか、コクリコクリと頭を動かしていた。
 次第に、私の方に頭が向き、肩に本田くんの頭が乗った。

「本田くん、降りる駅だよ。」
 私は、寝ている本田くんを起こした。

 本田くんは飛び起き、降りて行った。
 電車の外から手を振ってきた。
 私も振り返した。
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