初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
父はここぞという場で有無を言わせない雰囲気を作るのが上手い。そんな圧力に小さくなって頷くリエラに満足そうに頷いて、退室して行った。
兄もちらりとリエラを見てその後に続く。
ついでにボソボソと謝罪の言葉を口にしていたけど、場違いに怒っていた時の声と声量が全然違った。……いいけれど、別に。
ただ、だからモテないのよお兄は、なんて悪態を内心で吐いておいたのは内緒である。まあ人の事も言えないし。
(それにしても明日、王城かあ)
気が乗らない。行きたくない。
──とは言え父に迷惑を掛ける訳にはいかない。
(淑女スマイルを一日頑張って、何とか乗り切ろう)
リエラはぐっと拳を作った。