初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
父の勝利!
(……まあ、王族の名を使い、ロイヤルシート席で、公衆の面前で、しでかした内容があれだし……)
貴族なのだから、愛人を囲う事はあっても正妻を立てるとか。せめて結婚するまで隠し通すとか配慮するべきだったのだ。
大体貴族の血よりも平民を立ててはならないだろう。他ならぬアッシュがその血を笠に来て威張りくさっているのだから。
……っていう周囲も閉口するような落第点っぷりを発揮したのを、本人が分かっていない。
分かっていない上、この貴族らしからぬ直情的な行動。
だから王城にも拒否されたのだ。
……というか、この婚約破棄騒動はあくまできっかけで、彼は既に王家から切り捨てられているのではないかと邪推してしまう。
「リエラさん! どうか謝って下さい!」
「!?」
突然割り込んできた声に驚き振り返る。
そこには先日お見合い席にいた女性が涙を讃え佇んでいた。
(……え? 何でここにいるの?)