初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
「大丈夫です……」
「……良かったです」
そう目元を和らげるシェイドも、少し変わったように思う。八年で随分大人っぽくなった。
そんな思いで眺めていると、シェイドが徐に胸ポケットから眼鏡を取り出して装着した。
それを見てリエラは何となく気になっていた事を口にしてしまった。
「あの……それ。もしかして……度が合っていないのではありませんか?」
ぴくりと反応するシェイドの表情は読めないけれど、そのまま固まった彼の反応から、やっぱりそうだったんだと思い至る。
けれど、
(……ま、またやっちゃった!)
さぁっと自分の顔が青褪める音が聞こえた。
シェイドの反応を見るに、触れてはいけない事だったのだ。
リエラの頭は真っ白になった。