初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
お茶会の後、気になっていた男の子と話せたかと両親に期待を込めて聞かれ、リエラは上手く話せなかったとだけ答えた。
それが悪かったようで、次に会った時、シェイドは酷く焦った様子でリエラに話しかけてきた。
「ねえ。楽しくなかったって聞いたんだけれど、そんな事無かっただろう? 君はずっと喋っていたし、僕に会えた時嬉しそうにしてたじゃないか」
リエラは眉を下げた。
「……ウォーカー令息、私は楽しかったですし、あなたにお会いできて嬉しかったです。何も違えておりませんわ」
「そ、それなら……っ。君が父上たちに話してくれないか? 僕は上手くやったって。父上も母上も機嫌を悪くしてしまって──」
「……」
きっとリエラの両親は娘の表情を見て察したのだろう。それにリエラに強請られ招待したウォーカー令息の様子も、気に掛けていた筈だ。
その上で二人が出した結論とか、ウォーカー子爵家にどう話しをしたのかは分からないけれど、彼が期待に応えられなかったという事だけは理解できた。