初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
ベリンダは慌てながらも抵抗すべく口を開ける。勿論、余計な言葉は言わせない。
「ああ! そういえばあなたは学園の先生方の話も身分を分けて聞いていらしたのでしたっけ? だから成績はいつも端の方。身分に縛られた生き方は息苦しいものですね? ……でもおかしいですわ……あの学園の先生方は全員準男爵以上の身分を得た貴族でしたのに。不思議ですね、ベリンダ様? あなたは一体どなたのお話なら聞けるのかしら?」
リエラとベリンダとは四つ離れている。十四歳で入学した学園で彼女は既に最終学年ではあったが、成績表は全学年同じ場所に貼り出されていた。学園は準社交の場。主要貴族の成績くらいチェックしていて当然だった。
(いっつも後ろから数えた方が早い端の方だから目立ってたのよね。これで王子妃とか、よく言えたものだわ)
底辺馬鹿と言われた事を理解したのだろう。ベリンダは怒りを露わに真っ赤になっている。そしてこれには取り巻きも身を引いていた。
感情的な彼女は怒ると手が付けられない……これもまた周知の話なのだ。