初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
12. ※ シェイド①
シェイド・レンラスター子爵令息は子供の頃から麗しい美少年だった。
貴族の子女は概ね整った容姿をしているが、その中でも群を抜く一人。そんな自分の容姿を自覚したのはシェイドが六歳の頃で。その時から自分を取り合う令嬢たちに辟易としながらも、そんな令嬢たちの様子にも次第に慣れていった。
そして爵位というものを理解するようになる。
シェイドの家は子爵家で、取り立てて覚えの良い家でもなく、貴族のヒエラルキーでは下の方。平民より格別に良い生活とは言え、シェイドが生きるのは貴族の中。だからシェイドは貴族の下層民として美しい顔を晒して生きるしかなく。それがどういう事か次第に悟るようになる。