初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
だけど相手が悪かった。
確かに当日、シェイドの態度も本人が自覚する程に最悪で、教育で学んだ紳士とは言えなかった。
(どうせ僕の顔に魅力を感じているのだから、これくらい……)
そんなシェイドの傲慢さを、アロット伯爵夫妻はきちんと見極めてレンラスター家へ手紙を認めた。
『もう娘には関わらないでほしい』
そんな内容の、簡潔な文章で。
当然目論んでいた未来が頓挫し父は激昂。何故もっと上手くやらなかったのかとシェイドを殴りつけた。
驚き泣く弟に、お前が悪いと自分を責める母。
打たれた場所を押さえ、へたり込む中で、浮かぶのは怒りと悲しみ。シェイドの態度が悪かったからと、娘思いな対応を図るアロット伯爵家が羨ましかった。
良家に生まれ、家族に恵まれ……
だったら少しくらい自分に協力してくれてもいいじゃないかと思った。
父の不満を受け流しながら、新たに申し付けられる見合いをこなしながら、シェイドはある茶会でリエラを見つけ話しかけた。