初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
シェイドの努力を両親に伝えて欲しいと思ったのだ。
──行きたくないのに会いに行き、リエラの都合に付き合った。
それに心を込めろと強要されるのがどれだけ嫌かなんて、どうせ令嬢たちは分からない。彼女たちは望んだ分か、それ以上のものを返されるのが当然だと思っている、ただ高慢なだけの存在なのだから。
(……でも僕が微笑めば。哀願すれば)
彼女たちは受け入れてくれると。自分の顔の使い方を知っていたシェイドもまた、傲慢だった。
けれど振り向いたリエラの瞳は、期待に輝く事はなく凪いでいた。口を開く時は眉が下がり、口元は躊躇いうように戦慄いた。
『ウォーカー様は私がお嫌いでしょう?』
シェイドは驚きに固まった。
(何だって?)
今迄自分の気持ちなんて気にされた事は無かったから。
令嬢たちは皆自分が良く見えるようにシェイドにシナを作る。それを褒めれば良かった。そうすれば彼女たちは喜んで──
『ウォーカー様ならもっといい出会いがありますよ』