初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
13. ※ シェイド②
一年経ってリエラが学園に入学する時は緊張した。
彼女はどう変わっているのだろう。
それとも変わっていないだろうか。
入学して一年、学業の成果を認められ、シェイドは下位貴族の中で唯一、生徒会入りが決まった。第三王子であるクライド自らの抜擢に、誇らしさに胸が高鳴る。
彼女の中に自分への恋心が残っている事を密かに期待して、シェイドは入学式のリエラの様子を見守った。
リエラにまだ婚約者がいない事は知っていた。
きっと学園内は婚活の場になるだろう。貴族の子女なら当然だ。
家の為にも自分の為にも、令嬢たちがよりよい婚姻相手を見つける事に必死になるのは当然だと。その頃にはシェイドも理解できていた。
それでも、彼女が誰にも期待を込めた眼差しを向けない姿に、歳を経て美しく清楚な令嬢へと変わった事に、胸が熱くなった。
(特別とも憧れとも違う……)
リエラを目の当たりにして、シェイドはやっと自分の恋心を自覚したのだ。