初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
シェイドは変な奴だと思っていた。
整った顔立ちを隠しているのは直ぐに気が付いた。恐らく騎士の家系の嫡男あたりも気付いている。
自分のように、隠しているものを暴くような真似をするような者ではないってだけだ。
シェイドはそれ程優秀では無いと思うのだけれど、必死に優等生クラスに齧り付いていた。
(何か理由があるのかな?)
軽く興味を持ち、暫く様子を見ていれば、成る程と納得した。何でも人伝に聞いたところによると『昔は美少年だった』のだそうだ。
今も隠されているだけで、その面は変わらず美しいと思うのだけれど……
(多分、女性が苦手になったんだろうなあ)
分かる! とクライドは膝を打った。
王族という肩書きに見惚れる女たちに追い回される身としては、うんうんと頷くばかりだ。
──と、同時にこいつは隠せて羨ましいというやっかみが生まれた。
(はい、採用)
嫌がらせ要員である。
最初はそのつもりだった。
だから一年の終わりに生徒会役員に抜擢する旨を告げた時、シェイドが目を輝かせたのを見て不思議に思った。