初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
15.
「まずは子供の頃の私の愚かな行動を謝罪したい」
そう言ってシェイドは深く頭を下げた。
綺麗な形の頭を見下ろす形になり、リエラはオロオロしてしまう。
「お顔を上げて下さい。……そんな、子供の頃の話ではないですかっ」
言いながら自分もその話を引き摺っていた事に思い至り、言葉が途切れる。
「許しを得るまで頭は上げられない」
「許すもなにも……いえ、許します! わかりましたから!」
そう叫べばゆるゆるとシェイドの頭が持ち上がる。その表情は眉が下がり、今にも泣き出しそうな子供のようだった。
「ありがとう」
「……そんな。私の方こそ、謝って頂いて、ありがとうございます……」
正直とても詰れる気にはならないし、こうして謝って貰えてリエラは素直に嬉しいと思った。
自分が悪かったと思っていても、ぶつけられた態度や言葉に子供心に傷ついていた。
シェイドの言葉で、そんな頑なだった心が解れたような気がする。リエラはふぅと息を吐き、胸に手を当てた。