冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
「はい、もちろんです。あっ、でも私にプレゼントできるものにしてくださいね。あまり高いものはちょっと……」
困ったように眉を下げる彼女を見て、思わず頬が緩みそうになる。俺がきみに高額なプレゼントを要求するわけがないだろ。
「それなら心配いらない。俺が欲しいものは菫でも用意ができる」
むしろ、彼女にしか用意ができない。
「菫の時間が欲しい」
「時間?」
こてんと首を傾げる菫が可愛くて抱きしめたくなるが、その衝動を必死に抑えて続きを口にする。
「菫とふたりきりで過ごしたい。そして、おめでとうと言われたい」
「えっ……」
正直な自分の気持ちを伝えれば、菫はきょとんとした表情で俺を見つめ返す。
そんなものでいいの?と、その目が俺に問い掛けているような気がした。
無理もないだろう。俺だって柄にもないことを言った自覚はある。けど、俺が欲しいものはそれだ。
「わかりました」
しばらくしてから菫がにっこりと微笑んだ。
「当日はたくさん料理を作ります。あとケーキ……は、作れないからお店で買ってきますね。それで、ふたりでお祝いしましょう」
「ああ。楽しみにしている」
「えっ」