冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
あなたの妻だから
六月二十日――今日は、充さんの三十五歳の誕生日。
先週末、カフェで坪井くんとふたりで会っていたことで、充さんからあらぬ誤解をされてしまった。
それ以来、彼の態度はいつも以上に素っ気なく冷たい。私にだいぶ失望しているのだろう。ここ最近の私たちにはピリピリとした雰囲気が漂っていた。
それに耐えられなくなった私は、ちょうど今月の充さんの誕生日をきっかけにして仲直りをすることを思いついた。
ケンカをしているわけではないので仲直りというは少し違うのだけれど、なんとかして険悪ムードを払拭したい。
そのためにも充さんに誕生日プレゼントを贈ろうと思いついたものの、どんなに考えても彼の欲しいものがわからず、最終的には本人に聞いてしまった。
すると、まったく予想もしていなかったものを要求され、そんなものでいいのかな?と、自分の耳を疑ったほどだ。
充さんが欲しいのは私との時間。
私に興味がないのになぜそんなものを欲しがるのか。正直なところまったく理解ができない。でも、自分の都合のいいように受け取ってもいいのなら、もしかして充さんも私に歩み寄ろうとしてくれているのだろうか。
そうだといいなと思いながら、今日はお昼過ぎから張り切って料理に取り掛かった。