冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
身長も百五十二センチと低く、垂れ目の童顔のせいでいつも年齢より下に見られてしまう。
友人たちと居酒屋に行けば必ず年齢証明を求められるし、この前採用試験を受けた企業の面接担当からも『あなた高校生に見えるよね』と言われて、うっすら笑われたほどだ。
そんな大人の魅力に欠ける私になぜ宮條家は縁談を申し込んできたのだろう。不思議に思っていると、父に代わって母がその理由を教えてくれる。
「菫は覚えているのかしら。一ヶ月前に新宿駅のあたりでイヤリングを落とした女性に声を掛けなかった?」
「一ヶ月前?」
おぼろげな記憶を呼び戻す。
「……あっ、うん。そういえば声掛けたかも」
あの日は午後から講義があり、午前のバイトを終えたあとで慌ててキャンパスに向かっていた。その途中にある交差点の近くで、上品な装いをした六十代後半くらいの女性が屈みこんでなにかを必死に探しているのを見かけて声を掛けた。
どうやらお気に入りのパールのイヤリングを片方落として困っているようで、一緒に探すことにした。小さなものだから見つからないだろうなぁと思いつつ、三十分ほど探していたが奇跡的に私が発見。