冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
充さんが私にネックレスを手渡す。
「それ、いつもつけてるよな。大切なものなのか」
「はい。とっても」
「男からの贈り物?」
充さんの言葉についきょとんとしてしまう。けれど次の瞬間、思わず笑ってしまった。
「違いますよ。祖母に貰ったんです」
答えながら、ネックレスを着け直す。
「もともとは祖母が祖父から貰ったものなんですけど、亡くなる前に私にくれたんです。大切なものだから私に着けてほしいって」
もうだいぶ古いものなので留め具が緩くなっていたのかもしれない。落としたときにすぐに気付けたからよかったけれど、普段から気を付けていたほうがよさそうだ。
お墓参りを終えた私たちは近くの森林公園に立ち寄ることにした。
今日はこのあと実家で両親と一番上の姉夫婦、それから綾芽ちゃんが集まって、みんなでお昼を食べることになっている。
三沢旅館が現在リニューアルオープンに向けた工事で休館しているため、普段は旅館の仕事で忙しい両親と姉夫婦とも予定を合わせることができた。