冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~

 *

 散策していた森林公園を離れて再び車に乗り込んだ私たちは、駅前にあるショッピングモールに寄ることにした。

 そこで充さんの新しいズボンを購入。履き替えてから、車で実家に向かった。

 観光地にもなっている商店街に到着すると、近くのコインパーキングに車を停めて、実家までは徒歩移動だ。

 昔ながらの洋食店や喫茶店、ジャム店、パン屋などをはじめとした老舗店から、流行をとらえたおしゃれな店が軒を連ねる商店街を進んだ先に三沢旅館はある。

 高い木々に囲まれた緑豊かな場所にひっそりと佇む老舗の旅館だ。

 そこからさらに徒歩五分ほどの場所にある木造二階建ての家が私の実家。今は両親と一番上の姉夫婦が同居している。

 到着すると、広い和室には正方形の卓袱台がふたつ並んでいて、その上にはたくさんの料理がすでに用意されていた。

 充さんと共に出迎えられた私は自分の実家のはずなのになぜか緊張してしまう。たぶん、充さんと一緒に帰省するのが初めてだからだと思う。

 この家に充さんがいるのがとても不思議な光景に思えた。
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