冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
驚いている様子は伝わってくるけれど、喜んでもいるのかな?
わかりづらい充さんの反応に不安になっていると、父が彼の背中をポンッと優しく叩いた。
「おめでとう、充くん」
「ありがとうございます」
父は酔ってはいるけれど、私の妊娠は理解できたらしい。祝福の言葉を投げかけ、充さんがそれに応えた。
賑やかな昼食の時間が終わり、午後三時には実家をあとにする。
車を停めてある駐車場まで商店街の道を進みながら、隣を歩く充さんに声を掛けた。
「私、妊娠しているみたいです」
「そうだな」
彼が静かに頷く。
ようやくふたりきりになれたので改めて報告をして、充さんがどう思っているのかを知りたかった。その前にまずは自分の気持ちを口にする。
「正直なところ、私は驚いています。たぶんあの一度だけでできたということですよね」
充さんの恩師夫妻と食事をした夜、クレシャリーテに宿泊したときのことを思い出す。
あの日、私は充さんに初めて抱かれて、その夜に彼の子供を宿した。それ以降はそういった行為を一度もしていないので、その日で間違いないはず。
それはとてもすごい確率のような気がした。