冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
*
翌日になると昨日の雨が嘘のように空はすっきりと晴れていた。
締め切られたカーテンの隙間からは朝の柔らかな光が差し込んでいる。時間を確認すると午前六時を指していた。
昨夜は、雨で濡れた体を温めるために湯船につかり、そのまま晩ご飯も取らずにベッドに入った。ネックレスのことを思うと涙が止まらなくて、泣き疲れていつの間にか眠っていた。
ゆっくりと上体を起こし、床に足をつけてベッドに座る。ふとサイドテーブルが目に入り、その上に置かれているものを見た瞬間、パッと目を見開いた。
「うそ……」
そこには私が失くしたはずのネックレスが置かれている。
「どうしてここに?」
そっと手に取り確認すると、確かに祖母から貰ったネックレスだ。それを手に持ったまま寝室を出てリビングに向かう。そこにはワイシャツにスラックス姿の充さんがソファに横になって眠っていた。
近付いてみると、服と髪がほんのりと湿って濡れていることに気付く。
すると、寝ているはずの充さんが微かに体を動かした。瞼がゆっくりと開き、目を覚ます。その視界に私の姿を捉えると、ぼんやりとした表情のまま体を起こした。