冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
お互いの誤解
梅雨が明けて八月に入ると気温は一気に上昇。猛暑日がもう三日は続いている。
暑さに弱い私はだいぶバテているし、妊娠中の不調もありここ最近の体のコンディションはあまりよくなかった。
今日は二週間振りの検診日なのだが、産婦人科に行くだけでもやっとの状態だ。それでもなんとか辿り着き、診察を受けると赤ちゃんは無事に育っていた。もうすでに人の形をしている姿が愛おしい。
自宅に戻るとスマホにメッセージが届いていることに気が付く。差出人は充さんの弟の悠さんだ。
どうやら知り合いから高級牛肉をたくさん貰ったが、ひとり暮らしの悠さんの自宅の冷蔵庫には入りきらないらしく、我が家の大きな冷蔵庫に入れて欲しいというお願いだ。その牛肉で後日一緒にすき焼きをしようとも書かれていた。もちろん我が家で。
「すき焼きかぁ……」
少し前の私なら喜んで飛びついたけれど、妊娠してからは食欲不振が続いている。食べたい気持ちはあるけれど、食べられる気がしなかった。
それにこの暑さの中、鍋料理をするのは少しためらわれる。それでもせっかくの提案を断るわけにもいかず、了承の連絡をした。