冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~

「確かに兄貴はいつも仏頂面で辛辣な物言いをすることもあるけど、根は優しい人だよ。ちょっと愛想がなくて、不器用な性格なだけ。まぁ、弟の俺にだけは子供の頃から容赦なく厳しいんだけどね。だから菫ちゃんとふたりで食事をしたことがバレたら、俺も兄貴に土下座して謝らないといけないかな」

 そう言って悠さんはおどけたように笑った。

「大丈夫ですよ。私とふたりで食事をしたくらいで充さんは怒りませんから」

 そもそもなぜそんなことで彼が怒るのかわからない。すると、私を見ながらなぜか悠さんは呆れたようにため息をこぼした。

「菫ちゃんさ、鈍感って言われない?」
「えっ、鈍感?」
「兄貴と四カ月も一緒に暮らしてるんだから、そろそろ気付いてあげなよ。これじゃあ兄貴が不憫だ」

 そんなことをボヤきながらキッチンに移動した悠さんが「この肉入れとくね」と冷蔵庫に牛肉を詰め込んでいく。私もキッチンに向かい、そのお肉を使ってさっそく料理を始めた。

 牛肉と玉ねぎをフライパンで炒めて味付けをする。それを炊き立てのお米にのせれば牛丼の完成だ。

 ふたりでダイニングテーブルに腰を下ろして食事を始める。お腹が空いていたのか悠さんの食べるペースはとても早い。
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