冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
「俺が言っていいのかわからないけど、このままだと兄貴は一生伝えそうにないと思うから言うけど。兄貴は菫ちゃんのこと好きだよ」
「えっ」
悠さんがそんな爆弾発言をするので、私の思考はぴたりと止まる。
「というか大好きだと思う。そうじゃないと俺の縁談を横取りしてまで菫ちゃんと結婚しないだろうから」
「縁談を横取り?」
どういうことだろう。
「菫ちゃんの結婚相手、最初は俺だったでしょ」
「はい。でも、充さんに変わって……」
「あれね、直前になって兄貴が俺の縁談を奪ったんだよ」
「奪った?」
いったいなんのためにそんなことを……。
私はてっきり悠さんが私との結婚に乗り気じゃないから兄の充さんに押し付けたのだと思っていた。でも、そうじゃないの?
さらに詳しく話を聞こうとしたけれど「あとは兄貴に直接聞いてみな」と言われてしまい、悠さんは教えてくれなかった。
「俺が言えるのは、菫ちゃんは兄貴にちゃんと愛されてるってこと。好きとか一度も言われたことないの?」
「はい……」
頷きながら、ふと思い出したことがある。