冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~

 充さんの恩師夫妻と食事をした夜、クレシャリーテのスイートルームに泊まって初めて体を重ねた翌朝。充さんが私の手にキスをしながら『愛してる』と囁いた。

 夢にしてはリアルだったけれど、あれは現実だったのだろうか。

「あっ、もうこんな時間だ。牛丼ご馳走様。そろそろ家に帰るね」

 悠さんの言葉で時計を確認すると、そろそろ午後九時になろうとしている。空になったお皿を持って腰を上げた悠さんに「私が片付けるのでそのままでいいですよ」と声を掛けてイスから立ち上がったときだった。

 目の前が突然真っ暗になって体がふらっとよろめいた。とっさにテーブルに手をつこうとしたものの、うまくいかずにその場に倒れてしまう。

「菫ちゃん⁉ 大丈夫?」

 悠さんの焦ったような声を聞きながら、私はストンと意識を手放した。
< 167 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop