冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
充さんの恩師夫妻と食事をした夜、クレシャリーテのスイートルームに泊まって初めて体を重ねた翌朝。充さんが私の手にキスをしながら『愛してる』と囁いた。
夢にしてはリアルだったけれど、あれは現実だったのだろうか。
「あっ、もうこんな時間だ。牛丼ご馳走様。そろそろ家に帰るね」
悠さんの言葉で時計を確認すると、そろそろ午後九時になろうとしている。空になったお皿を持って腰を上げた悠さんに「私が片付けるのでそのままでいいですよ」と声を掛けてイスから立ち上がったときだった。
目の前が突然真っ暗になって体がふらっとよろめいた。とっさにテーブルに手をつこうとしたものの、うまくいかずにその場に倒れてしまう。
「菫ちゃん⁉ 大丈夫?」
悠さんの焦ったような声を聞きながら、私はストンと意識を手放した。