冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~

 個室でしばらく待っていると、襖を軽くノックする音が聞こえた。

 現れたのは上品なストライプスーツ姿の長身男性。

「待たせてすまない」

 私にひと声掛けてからテーブルを挟んだ向かいの席に腰を下ろした男性のことを思わず見つめてしまう。それから、あれ?と首を傾げた。

 この人、宮條悠さんじゃない……。

 おそらくオーダーメイドであろう体のラインにぴったりと合った高級スーツを身に纏う長身で細身な体躯。前髪を斜めに流した黒髪のショートヘアは清潔感もあり、知的な印象も受ける。

 どこか冷たさを感じさせるクールな目元に長い睫毛。すっと通った鼻筋に、形のいい薄い唇。男らしいというよりかは中性的で美しく、整った顔立ち。

 目の前に座る彼は事前に目を通した身上書の写真の宮條悠さんとは違う。でも、よく見ると顔のパーツや背恰好が似ているような気もして……。

「失礼ですが、どなたでしょうか」

 恐る恐る声を掛けると、なぜか驚いたような表情をされてしまった。

「宮條だ。きみは三沢菫さんだろ」
「そうですけど……」
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