冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
「私、充さんの言葉をずっと誤解してました。たぶん充さんも私の言葉を誤解しています」
「俺が?」
充さんの眉間に皺が寄り、表情が固くなる。
「私は、充さんのことを好きになるつもりはないと言ったのではなくて、好きになれるかわからないと言いました」
「同じことだろ」
「私の中では少し違うんです」
私は首を横に振った。
「でも、紛らわしい言い方をしてすみませんでした」
あの日、私は充さんを突き放すつもりはなかった。
「本当はあの言葉のあとでこう続けたかったんです。好きになれるかわからないけど、結婚したら充さんのことをもっと知って、いいところを見つけて、苦手だと思うところもひっくるめて好きになれたらいいなと思うって……」
今思えば私はその気持ちを心の中で思っただけで、しっかりと最後まで充さんに伝えていなかった。それだと充さんが誤解をするのも当然だと反省する。
「自分の気持ちを最後まできちんと伝えるべきでした」
「いや、俺も早とちりをしていたようだ」
お互いがお互いの言葉に誤解をして、今日まで過ごしてきたんだ。本当はちゃんと想い合っていたのに。