冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
エピローグ
年が明けた二月。私は女の子を出産した。
逆子が直らず予定日を決めて帝王切開するはずが、それよりも二週間も前に破水してしまい緊急で帝王切開になった。
生まれてきた我が子は二千五百グラム未満の低体重児だったけれど、母乳をよく飲みすくすくと成長。生後四か月を迎えた現在、ようやく成長基準線の枠内に入ることができた。
娘の名前は私と充さんの名前が漢字一文字ということもあり、お揃いにしたくて〝愛〟と名付けた。優しく人を愛し、愛される子になってほしいという充さんの素敵な想いが込められている。
そんな愛は今、寝室のベビーベッドですやすやと眠っている。
彼女は誰が見ても充さん似なので、絶対に美人になるはず。身長も充さんに似て高く成長したら、将来はトップモデルだろうか。そんなことを妄想してしまうほど、私はすっかり親バカだ。
「菫。愛は寝たのか」
充さんが寝室に顔を出した。こちらへ静かに近付いてきて、ベビーベッドで眠る愛の寝顔を見つめる。普段のクールな表情はすっかり崩れ、柔らかく微笑んでいた。
「愛の寝顔は本当に可愛いな。いや、起きているときももちろん可愛いが。ほっぺにキスしたくなる」
「起きるといけないのでやめてください」
「だよな」