冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
上着の裾から充さんの手が差し込まれ、素肌を撫でられた瞬間ビクッと体が震えた。それに気付いた彼が私から唇を離して「すまない」と呟く。
「菫に触れるのもキスをするのも久しぶりで、つい調子に乗った」
充さんが私の体をそっと離し、自分を落ち着けるように深く息を吐き出した。そんな彼を見てふと気付いてしまう。
充さんは私とこの先の行為もしたいのでは?
結婚後、一度の行為で子供を授かった私たち夫婦はそれ以降そういうことをしていない。
妊娠中だったこともあり私はそういう気分にはならなかったけれど、充さんはどうなのだろう。クールな彼だって人並みに性欲はあると思う。かといって真面目な彼のことだから私以外の女性とそういう行為をしているとは思えない。
ずっと我慢しているのだろうか……。
「洗い物は俺がするから、菫は休んでいて」
立ち上がる充さんを追い掛けるように腰を上げた私は勢いよく彼の背中に抱き着いた。
「あ、あの……えっと……」
自分でも自分の行動がわからない。ただ、今は充さんともっと触れ合っていたかった。