冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
その後も食事を続けていると、宮條さんが不意に口を開く。
「結婚の時期だが、きみが大学を卒業してからにしようと思う。ちょうどその頃に、うちの会社の新しいホテルが横浜に完成するんだ。チャペルも備えているから、そこで式を挙げようと考えている」
「えっ」
「新居だが、俺の今のマンションで一緒に暮らすのもいいが、この際だから新しく購入しようと思う。場所や内装、家具などの希望があれば言ってほしい」
「あ、あの……」
宮條さんの言葉は止まらない。
「きみの仕事についてだが、グレースフルパレスホテルグループの社長の妻が外で働いているというのは少し体裁が悪い。自由を奪うようで申し訳ないとは思うが、結婚後は家にいてもらえると助かる。その代わり習い事や、友人との食事などは自由にしてもらって構わない。そういったことにかかる費用はすべて俺が持つから」
まるで仕事中の業務連絡を思わせるような淡々とした話し方に圧倒され、私は口を閉ざしてしまう。
「俺からの話は以上だが、きみもなにか事前に伝えたいことがあれば言ってくれ。なるべく希望を聞き入れたいと思っている」
こんなところを祖母に見られたらはしたないと叱られてしまうだろうが、私は箸で食べ物を掴んだままついぼーっとしていた。