冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
宮條さんが怒涛の勢いで話を進めてくるから困惑している。
とりあえず、箸で掴んだままの食べ物を口に入れて飲み込んでから、両手でそっと箸を置いた。
「結婚についてなのですが、私はまだその意思が固まっているわけではなくて……」
こうして食事の場にはきたものの、結婚についてはまだ悩んでいる。なにせ父が勝手に了承してしまったのだから、私の気持ちはまだ結婚には至っていないのだ。
それに、直前に相手が変わったというのも気になる。
「そもそも宮條さんは私と結婚してもいいんですか? どんな事情があったのかは知りませんが、弟さんの身代わりでここにいるんですよね」
なんとなく私はそんな気がしていた。
結婚相手が急きょ兄に変わったのは、おそらく宮條家側になにか事情があったのだろう。私の予想だと、当初の相手である弟の悠さんが直前になって拒んだのだと思う。
私と同じく勝手に結婚を決められて納得できなかったのか、もしくは本命の彼女がいたのかもしれない。
だから直前になって私との結婚を放棄。代わりに兄である充さんがこの場に現れたものの、彼もきっとこの結婚には同意をしていなくて、できることなら回避したいと思っている。
私はそう考えていたのだけれど、予想外にグイグイと結婚の話を進めてくるので戸惑ってしまった。