冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
噂通りの冷酷男
「――この結婚、続けていけないかもしれない」
充さんと結婚して一ヶ月が経った五月のとある日曜日。
大学時代の友人の結婚式で昨日から東京を訪れている二番目の姉の綾芽ちゃんとカフェでランチを取りながら、私の口からはついそんな弱音がこぼれた。
綾芽ちゃんに会うのは一カ月前の私の結婚式以来。再会早々、初夜のときに充さんから言われた冷たい言葉の数々について打ち明けたのだが、綾芽ちゃんはどこか納得したように頷いた。
「やっぱりね。そうだと思った」
サラダのレタスにフォークを突き刺し、ぱくりと口に放り込んだ綾芽ちゃんに私は問い詰める。
「やっぱりってどういうこと?」
「ん? 噂通りの人なんだなぁと思って」
「噂?」
首をかしげる私に、綾芽ちゃんが教えてくれる。
「宮條充って冷酷なことで有名らしいよ。菫が結婚するって聞いたとき、相手の男性のことが気になってネットで調べてみたんだよね。そしたらあまりよくない噂が書かれた記事を見つけたの」
綾芽ちゃんがミニトマトをぱくりと口に放り込んだ。口をもぐもぐさせながら話を続ける。