冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~

 初めてとはいえ、私ももう二十歳を過ぎた大人の女性だ。それなりに知識はあるけれど、いざ自分がその行為をするとなると緊張するし恥ずかしい。

 それに、歳の離れた姉ふたりから『初めては痛いわよ~』と脅されたこともあり、これからいったいどんな未知なる体験が私を襲うのかと、つい身構えてしまう。

「そんなに心配するな。俺に任せればいい」

 今日の結婚式のために半年前から伸ばした栗色の私の髪にゆっくりと指を通す充さん。クールな表情とは正反対の優しい手つきに思わず胸がきゅんっと高鳴った。

 充さんにときめくのはたぶんこれで二度目。一度目は今日の結婚式で、すらりと背の高い彼のタキシード姿に思わず見惚れた。

 おそらく私だけではなくて、参列していた女性陣のほとんどが充さんに釘付けになっていたと思う。

 初対面のときから笑顔がなく、眉間に皺を寄せた気難しげな表情が癖になっている充さんだけれど、もともとは端正で華やかな顔立ちをしていることもあり女性人気は高いのだろう。

 そんな彼に今から抱かれるのだと思うと緊張感がさらに増した。

 ふぅ、と小さく息を吐いてなんとか自分を落ち着かせる。
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