冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
私の夫――宮條充さんは冷たい人だ。
妻である私に少しも興味がない。政略結婚とはいえ、あまりにもひどいと思う。
充さんの頭の中には仕事のことしかないのかもしれない。今日だって休日なのに出勤しているし、平日も朝早くに家を出て、日付が変わる頃に帰宅する。
巨大企業を率いる社長としては優秀な人なのだろう。聞いた話によると、充さんは既存のホテル経営だけにとどまらず新しいホテルを次々とオープンさせたり、経営難や破綻寸前のホテルや旅館を買い取っては再建に成功させているそうだ。
彼が社長に就任してからは、お父様の代よりも売り上げが伸び、経営規模も拡大しているらしい。
けれど、いくら仕事ができるとはいえ充さんは夫としては最低だ。
『俺はきみの心まで欲しいとは思っていない。きみの役割は俺の妻としての務めをしっかりと果たすことだ』
初夜のときに言われた充さんの言葉を思い出した私は、重たいため息を吐き出しながらテーブルに伏せた。