冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~

 結婚式のために伸ばした髪をばっさり切って、ショートボブに戻した私の頭を綾芽ちゃんの指がつんつんと突いてくる。

「菫、元気出せ~」
「無理」
「そんなこと言わないで。昨日の結婚式で貰った引出物のバームクーヘンあげるから」
「いらない」

 テーブルに顔を伏せたまま首を横に振ると、「結婚式といえばさ」と綾芽ちゃんが唐突に話題を変える。

「菫たちの盛大な結婚式を見たせいか、昨日の友人たちの結婚式が地味に感じちゃったのよね。それなりに立派な会場で招待客も多かったんだけど、やっぱり菫たちのは桁違いに豪華な結婚式だったよね」
「私はなにも決めてないけどね。会場もドレスも、すべて宮條家が決めたものだし」

 伏せていた顔を上げた私は頬を膨らませた。

 私と充さんの結婚式は、彼が社長を務めるグレースフルパレスホテルグループが今年の二月に横浜に新しくオープンさせたクレシャリーテホテルで行われた。

 横浜港を望む豪華なチャペルと、街を一望できる高層階にある広々とした披露宴会場。
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