冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~

 *

 帰りの新幹線の時間が迫っているので、綾芽ちゃんとは午後二時に解散。夕食の買い物を済ませてから、私は自宅マンションに帰った。

 港区にある高級タワーマンションは私との新居のために充さんが購入して、結婚に合わせてふたりで引っ越してきた。

「おかえりなさいませ」

 大理石の床と、シャンデリアがぶら下がる吹き抜け天井の豪華なエントランスにはコンシェルジュがいて挨拶をしてくれる。

 私はぺこりと頭を下げて笑顔を返しながら、高層階専用のエレベーターに向かった。

 到着したのは二十五階にある3LDKの部屋。ここが私と充さんの自宅だ。

「ふぅ~、疲れたぁ」

 高層階の部屋は見晴らしはいいけれど、住み慣れてくるとエレベーターを降りたり昇ったりするのが少し面倒になってきた。広々としたキッチンスペースでそんなことを思いながら、買ってきた食材を冷蔵庫にしまっていく。

「随分と帰りが早いんだな」
「きゃっ。びっくりした」

 突然後ろから声を掛けられて心臓が跳ねる。振り向くと、ラフな部屋着姿の充さんが立っていた。
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