冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~

「アメリカの大学に留学していた頃の恩師が奥さんを連れて来日するんだ。クレシャリーテに宿泊するから、併設するレストランで一緒に食事をしないかと誘われた。きみも俺の妻として同席してほしい」

 ……ああ、そうですか。そういうことですか。初夜のときに言っていた〝妻の務め〟として私を食事に誘ったんですね。

 充さんが私に興味がないことはわかっているけれど、ほんの少しだけ期待してしまった私がバカだった。

 私はあなたの妻なので同席しますよ。それが私の務めですもんね。と、不貞腐れながら心の中で呟く。

 けれど、ふと思い出した。来週の土曜日といえば……。

「すみません、充さん。その日はお義母様のご友人が経営されているレストランの開店二十周年パーティーがあるので、一緒に来てほしいと誘われています」

 どちらに行くべきなのだろう。やはり妻としての務めを優先させるべきか。でも、先に約束をしていたのはお義母様だし。

「それなら母との約束のほうをキャンセルだ。きみからは断わりづらいだろうから俺が連絡しておく」
「でも、いいんでしょうか」
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