冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
片手で数えられるほどしか顔を合わせたことがない私たちの距離感はまだまだ他人のよう。でも、この初夜を通して私は充さんとの夫婦仲を深められるのではないかと期待している。
この結婚が不本意なものだったとはいえ、縁あって夫婦になったのだから私は充さんと仲良くなりたい。だって、これから先もずっと連れ添っていく相手なのだ。ギスギスした関係よりも仲良しのほうがいいに決まっている。
初対面のときから常にクールで、なにを考えているのかいまいちよくわからない充さんも、男の人に抱かれるのが初めてだと打ち明けた私のことを気遣ってくれているようだし。もしかしたら彼も、私に歩み寄ろうとしてくれているのかもしれない。
この初夜を素敵なものにさせるためには、たとえこれから始まる行為が私にとってどんなに痛いものであろうとも必ず耐えてみせる。
「大丈夫です。どうぞ始めてください」
気合を込めたせいか思ったよりも大きな声が出た。
充さんは一瞬きょとんとした顔を見せたあとでふっと吹き出す。