冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
お義母様は私を連れてパーティーに行くのをすごく楽しみにしていた。
当日に着るワンピースも新しく購入してもらっている。『絶対に菫ちゃんに似合うから』と、自分の見立てたワンピースを私に着させるのを楽しみにしていたことを思い出したら少し胸が痛んだ。
「母がきみのことを可愛がっているのは知っているが、その前にきみは俺の妻だ。俺を優先させるべきで、考えるまでもない」
「なっ……」
「それに俺は言ったはずだ。きみの役割は妻としての務めをしっかりと果たすことだと。だから俺のほうの食事会に同席するのは当然だろ。妻の務めを放棄するつもりか」
どうしていつも棘のある言い方ばかりしてくるのだろう。上から目線の命令口調で言われてしまっては気分が悪い。
つい唇を尖らせて、ムッとした表情を作ってしまった。
「不満か」
すると、充さんも眉間に皺を寄せて不機嫌な顔になる。
「そうですね。ちょっと不満です」
「なんだと」
思わず本音が漏れてしまうと、充さんの表情がいっそう険しくなった。普段から冷たさを感じさせるクールな目で、私のことを睨むように見てくる。