冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~

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 充さんのアメリカ留学時代の恩師の名前はポール・ベイカー先生といって、奥様はカレンさんというらしい。ベイカー先生は、アメリカで通っていた大学院の教授で、経営について学んだそうだ。

 充さんはグレースフルパレスホテルグループに入社する前は、留学先のアメリカの企業で二年ほど勤務していて、そこを紹介してくれたのもベイカー先生だったのだと教えてくれた。

 ふたりは今でも連絡を取り合う仲で、充さんが仕事でアメリカに出張するときは必ず会うようにしているらしい。

 ベイカー先生と奥様のカレンさんは共に六十代。日本には休暇を利用して観光で来たらしい。教え子である充さんのホテルにぜひ泊まりたいとクレシャリーテを選んだそうだ。

 今夜は十三階にある鉄板焼きのお店で食事をすることになっている。カウンター席に充さんと並んで腰を下ろし、ベイカー夫妻の到着を待つ。

 落ち着いた雰囲気の店内は照明を少し落としており、広い窓の向こうには横浜の街が一望できる。夜景がキラキラと輝いて見えてとてもきれいだ。

 それに見惚れているうちに約束の時間になり、ベイカー夫妻が到着した。

 充さんとともにイスから立ち上がって夫妻を迎える。
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