冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
さすがに息が苦しくなってきた頃、充さんがようやく私の唇を解放する。
「俺もきみに伝えておきたいことがある」
先ほどまでのキスの余韻に浸りながら酸素を取り込む私とは違い、少しも息のあがっていない余裕な表情を浮かべる充さんがふとそんなことを口にした。
私に伝えておきたいこと?
いったいなにを言われるのだろう。少しの緊張と共に彼の顔をじっと見つめていると、クールな表情のまま充さんが静かに口を開く。
「結婚して夫婦になったとはいえ、俺はきみの心まで欲しいとは思っていない。きみの役割は俺の妻としての務めをしっかりと果たすこと。それ以外のことは望んでいないから、きみが俺を無理に好きになる必要はない」
「え……」
「これからの行為も妻の務めのひとつだと思ってくれて構わない。俺には跡継ぎが必要だから、その子をきみに産んでもらいたい。だからこうして定期的に抱くつもりでいる」
思わず目をぱちぱちさせてしまう。充さんの言葉にどう返せばいいのかわからない。ただ、とても冷たい言葉をぶつけられたのだけは理解できて、胸の奥がきゅっと締め付けられた。