冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~

 部屋の中央にあるL字型の大きなソファに腰を下ろした充さんは、背もたれによりかかりながら片手でジャケットのボタンを外す。

「食事に付き合ってくれたお礼だ。結婚式の夜、初めてこの部屋に入ったとき、ここから見える夜景に見惚れていただろ。だからまた菫に見せたいと思った」
「えっ……」

 そんな理由で?

 私はきょとんとその場に立ち尽くす。

 充さんはネクタイの結び目に指を引っ掛けると、首の締め付けを緩めながら口を開いた。

「たまたま今日この部屋がキャンセルになったんだ。突然で申し訳ないが、着替えならそこに用意させたからそれを着て」

 充さんが備え付けのクローゼットを指差す。近付いて確認すると、そこにはハンガーにかかった新品のワンピースと、同じく新品の下着が置かれていた。

「これって……」
「女性のスタッフに用意させた」

 どうやら今夜は本当にここに泊まるらしい。しかもその理由が私に夜景を見せたかったから……。
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