冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
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ゆっくりとシャワーを浴び終えて髪を乾かし、備え付けのブランド物のアメニティグッズで肌の手入れをしてから戻ると、充さんはもう仕事の電話を終えていた。
私と入れ替わるようにバスルームに向かう彼のことを見送り、ひとりになった私はとりあえずベッドに腰を下ろす。
窓の向こうに広がる夜景をぼんやりと眺めていたら、ふと初夜のときのことを思い出した。
あの日も私が先にシャワーを浴びて、充さんが戻ってくるのをこうして待っていた。
夫婦になって初めての夜。これから私は充さんに抱かれるんだ。そう思うと、心臓が飛び出てくるんじゃないかと思うほどドキドキしていたのを覚えている。
『その着物、よく似合ってる』
先ほど充さんに言われた言葉を思い出す。
『きれいだよ』
抱き締められたときの感触も彼から伝わる熱も、シャワーを浴びたはずなのにまだ私の体は覚えている。
今夜の充さんはどこか様子がおかしい。普段よりも言動が甘い気がする。
「どうしよう。なんだかドキドキしてきたかも」
早鐘を打ち始める心臓を、客室に備え付けられていたガウンタイプのパジャマの上からそっと手でおさえる。けれど、初夜のときと同じような緊張感がじんわりと押し寄せてくる。
もしかして今夜……。