冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
それに、これからの行為も子作りのためだけのものとするならば、こんなふうに確認を取る必要はない。私が嫌がっても、泣いても、強引に事に及ぶこともできるはずなのに……。
「やっぱりまだ許可を貰えないようだな」
視線を逸らしたままの私を見て、充さんはそう判断したらしい。私の手首を掴んでいた手の力を緩め、組み敷いている私の上から離れようとした。
「大丈夫です。抱いてください」
しっかりと充さんの目を見て、私は自分の気持ちを口にする。
今夜体を重ねることで、もしかしたら夫婦としての絆がほんの少しは生まれるかもしれない。初夜のときにそう期待していた自分の気持ちを思い出した。
「いいのか?」
「はい」
頷いた私を見て、充さんが優しく目を細める。
「痛かったり、こわかったりしたらすぐに言って」
そう言って、彼は私の腰紐を解いた。
「あ、あの、電気を……」
「消したほうがいい?」
こくんと頷くと、充さんが少し体を動かして手を伸ばし、ベッドサイドにある照明スイッチに触れて室内の明かりを落とした。
ほんのりとした間接照明の明かりだけが私たちを照らしている。