冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
快感を逃がすようにシーツをきゅっと握り締める私の手は小刻みに震えている。それでもじっと耐えていると、いつの間にか瞳にはじわじわと涙が浮かんでいた。
私のことを好きとも思っていなければ、これからも好きになろうとしてくれないこの人に、初めてを捧げることになるなんて。
やっぱりこんな結婚は断るべきだった。婚姻届を出したばかりだが、今すぐにでも離婚してやりたい気分だ。
でも、私にはそれができない。なにせこの結婚には私の実家が経営する旅館の再建が託されているのだから。
私は、宮條充という冷酷な男の妻をこれからも続けていかなければならない――。