冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
「三沢もこれから家に帰るところって言ってたよな」
「うん」
「じゃあこれから一緒に飯でもどう? 結婚してたってそれくらいならいいよな」
坪井くんが私の手首を掴んだ。そのまま私のことをグイグイ引っ張っていこうとする。
「つ、坪井くん。ちょ、ちょっと……」
「このへんに俺のお気に入りの店があるんだ。久しぶりに会ったんだし、いろいろと話そうぜ」
いえ、私は坪井くんと話したいことはありません。そうきっぱり断れたらいいけれど、そんな暇を与えられないほど強引に坪井くんが私のことを連れ去っていく。
手首を掴まれたまま引きずられるようにして、仕方なく私は坪井くんのあとに付いて行った。
到着した場所はクレシャリーテから徒歩五分ほどの場所にある商業施設。その一階にあるカフェには広々としてテラス席があり、緑色のパラソルの下には木製のテーブルとイスが置かれている。
天気が良いのでテラス席はほぼ満席。それでも一席だけ空いているのを見つけて腰を下ろした。
どうやらパンケーキが有名なカフェらしい。生クリームやフルーツなどがのったものから、スクランブルエッグやハムなどがのったものまで、デザートや食事として楽しめるパンケーキが揃っている。