冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
おいしいと告げた私の反応が嬉しかったのか「だろ?」と、坪井くんが得意顔で頷いた。それから私のことをじっと見つめてくる。
「三沢って相変わらず可愛いよな。やっぱりめちゃくちゃ俺のタイプなんだけど。そっか……結婚しちゃったのか」
そう言って、坪井くんがため息を落とす。その姿を見ながら私はどう反応すればいいのかわからず、フォークを持ったまま固まってしまった。
突然どうしたの? いや、大学在学中も同じようなことを言われたことがあるけれど。遊び人のことなので間に受けないようにしていた。
「マジでショックだわ。つか、結婚したの先月だっけ? 大学卒業してすぐじゃん」
「う、うん。そうだね」
「ということは大学在学中から付き合ってたの? まったく気付かなかった。同じ大学? どんな人? つか、俺も知ってるやつ?」
矢継ぎ早に尋ねてくる坪井くんの勢いに押されてたじたじになってしまう。
「ええっと……、親が決めた相手と結婚したの。だから付き合ってはいなくて、お見合いみたいな感じで出会ったんだよね」
「ああ、政略結婚とかいう? そういや三沢の実家って地元では有名な老舗旅館って言ってたよな。やっぱりそういうところのお嬢さんだと結婚も普通にできないのか」
「うん。まぁ、そんな感じ」